先週は中期的波動を決定的なものとする材料が日米揃って出された。米国のテーパリングの終了によって金融緩和政策(QE3)を終焉させた米国と伸ばしにのばされた感のある日銀のマネタリーベースの増加幅を年間80兆円規模に増加するなどの追加金融緩和政策の発表である。
米国のQE3の終了は、10月中旬に一部から延期を示唆するコメントが出されたものの、ほぼ予想通りだったが、一方の日銀の追加緩和に対してはなぜこのタイミングなのかに疑問が残る。
折しも10月初旬に110円に到達した際に当局より急激な円安を懸念するコメントが出されていたことは記憶に新しいが、追加で金融緩和を施せば円安が進むのは当然といえばあまりにも当然だからである。折しも米当局からもドル高を懸念するコメントが出されていたが、これは当時マーケット全体が全通貨にわたってドル高推移していた。結果的にこの一連のコメントラッシュでドル高推移にブレーキがかかっている。
これは想像の域を超えないが、今回の日米当局のイベントを控えて、事前準備だったのかもしれない。10月当初のドル円は、1998年から続く超長期の円高トレンドラインをブレイクし、一気に円安が進んでいた。この状況下で今回の追加金融緩和を打ち出していたら、ドル円は120円を探る動きになっていたかもしれない。
これから米国は利上げのタイミングを探る動きとなるが、今回の事象を参考にすると利上げの直前にはドル高を懸念する表明が出される可能性がある。
それを確認するうえで連休明けの日米当局のコメント等の対応に注目したい。