ドル円が155円台に突入している。河野デジタル相がブルームバーグのインタビューで、日銀に利上げを求める発言があったことや、トランプ前大統領がドル高の是正を示唆する発言が伝わり、16日に156円台となった。その後はいったん持ち直したものの、ウォラーFRB理事が利下げが近づいているとの発言や日銀の追加利上げ観測などもあり、約1カ月ぶりの155円台となっている。FRBの利下げが意識される中で、ドル買い・円売りに慎重なムードとなっているため、しばらくは難しい動きとなりそうだ。

日本時間14日早朝、トランプ前大統領が演説中に銃撃されたが、右耳上部を貫通したものの、命に別状はなかった。バイデン大統領の健康不安説が高まっている中でおきたこの事件で、トランプ氏が強いリーダー像を見せたことにより、大統領選で有利に働くことは否定できないだろう。またSNSを中心に自作自演の陰謀論などの情報が入り乱れており、情報は冷静に判断したい。

ドル円は2か月ぶりに160円台に突入し、160円87銭をつけた。複数のFRB高官から利下げを急がない姿勢が示されており、日米金利差を意識した動きが強まっている。神田財務官から円安けん制発言が聞かれるなど、為替介入への警戒感は高まっているが、円安ドル高の流れを変えるところまでは至っていない。7月には日銀も利上げに踏み切るのではとの見方もあるが、米FRBが利下げ政策に転換していくまではこの基調が続いていきそうだ。

昨晩は米卸売物価指数(PPI)や米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り円高ドル安となった。その後は、米利下げ観測が後退していることから日米金利差は当面続くとの見方から円安ドル高に戻っている。本日、日銀金融政策決定会合を控えているが注目は金融政策。金融政策等に具体的に踏み込んだ発言があればサプライズの円高も考えられるが、まずは発表を待ちたいところ。

昨夜の米CPIの伸び率鈍化や米小売売上高の悪化で、ドル売りが進み東京時間では一時153円台となった。ただドル売りが一巡すると、徐々にドル買戻しが進み154円80銭前後を付けている。一旦ドル売りは落ち着いたものの、米経済指標次第で大きな動きになる可能性があるため、注意は必要だ。米FOMCや日銀の金融政策の見通しをめぐって荒い動きは続きそうだ。