4月当初の堅調な展開から失速していたドル円は、先週、4月の月例経済報告で景気の基調判断を下方修正したこと、ウクライナ情勢の緊張度がやや低下したことを受けての米株の反発、米小売売上高の予想を上回る堅調さ、中国の1-3月期国内総生産(GDP)が前年比+7.4%だったことなど相次ぐドル支援材料を受けて、3月を通しての安値レベル101円台前半を固持し102円台に回復している。
101円台前半で値固めが済んだことでテクニカル的にも上昇ムードが出てきている。加えてファンダメンタルズ面においても月例経済報告で景気の基調判断を下方修正したことで月末に控える日銀金融政策決定会合において追加緩和が実施されるとの観測、月29-30日のFOMCで100億ドル規模の量的緩和縮小(テーパリング)の継続などから上値を模索しやすい環境に変化している。
加えて年金積立金管理運用独立行政法人による外貨建て資産への投資増額計画を受けて、本邦機関投資家による新規の外貨建て資産への投資増額が期待されていることも円売り要因となる。
懸念材料としては、4月17日に開催されたウクライナ、EU、米国、ロシアによる4者協議においてウクライナの騒乱の沈静化に向けた対策に着手合意で落ち着きを見せているが、5月25日のウクライナ大統領選挙に向けて、ウクライナ東南部のロシア系住民によるロシア編入を求める住民投票を要請する声が高まりつつあることで、依然として予断を許さない状況が続いている。
基本的には月末に向けてドル買い円売り要因を控えて、思惑先行の展開となりそうだ。