先週は、クロス円が底堅い動きから上値を模索する展開に終始したが、ドル円自体は、ウクライナの停戦協議が難航したこと、イラクでの内戦勃発の可能性が高まったことで、リスク回避の円買い圧力から動意を失っていた。注目されていたFOMCでもハト派的な発言を受けてドル買いにはつながらなかった。
今週は6月中に発表されると目されている安倍政権の新成長戦略が焦点となってくる。実効税率の引き下げを中心に予想されているが、予想通りならば、安倍トレード(日本株買い・円売り)が再開する可能性が高まることになる。この部分に関しては、結果待ちの動きからマーケットに織り込まれていないことが予想され、事実確認でストレートに円売りの動きが強まるだろう。
突発的材料的には、地政学リスクとしてウクライナ、イラクの情勢変化が挙げられる。
ウクライナでは、ポロシェンコ・ウクライナ政権と親露武装勢力との停戦協議にも関わらず、武力衝突が激化しつつあり、ウクライナ東部での紛争が激化した場合、リスク回避の円買いの動きが強まることとなろう。
一方のイラク情勢では、アルカイダ系の武装組織「イラク・シリア・イスラム国」とマリキ・イラク政権との間で内戦が勃発する可能性が高まりつつあるが、イラクが内戦に陥った場合、短期的にはウクライナと同様にリスク回避の円買いの動きとなるだろう。内戦が長引いた場合、中長期的には原油価格が上昇することで、原発廃止の動きから原油輸入の依存度が高くなる予想される日本経済にはマイナス要因、貿易赤字の拡大により円安要因となりそうだ。
結局の処、今週はイラク、ウクライナ情勢の変化を気にしながら、安倍新成長戦略発表待ちの週となるがいずれの材料も大きな波動を生む可能性を秘めているだけに細心の注意を払って見守りたい。