シリア軍がイラク西部で空爆を実施したとの報道をきっかけにリスク回避の円買いの動きから円の上値が重くなっていたが、短期筋や個人投資家のドル買いで底堅く推移。その背景には安倍政権の新成長戦略発表への期待感が根強いことが感じられる。
一方では中東の地政学的リスクへの警戒感も根強く、オバマ米大統領が「シェールガス革命」により中東原油への依存度が逓減するため、中東の警察官役を退きつつあることで、国境線を越えたシーア派とスンニ派の抗争が激化しつつある。
米国とソ連が冷戦で対峙していた「冷戦時代」は、国際的な紛争時は、「有事のドル買い」として、米国ドルが避難通貨として選択されてきた。しかし、ソ連が冷戦に敗れて崩壊し、ロシアとなった時点から、中東などでの紛争は、米国が関与していることでドル売り要因となった。
ロシアによるクリミア併合により、第2次冷戦時代となり、米国が中東から撤退しつつあることで、「有事のドル買い」転換する可能性があり注意を施したい。
いわば、「リスク回避の円買い」VS「有事のドル買い」の局面を迎えているといえよう。
その中で6月中に発表されるという安倍政権の新成長戦略の内容に加え、来週火曜日、月明け1日の日銀短観に注目が集まる。
テクニカル的に、1998年からの長期のレジスタンスである105円が、大きな峠の分水嶺となることだけは、強く提示しておきたい。